生存戦略研究所

どう生き延びるか?今のシステムが続いても、終わっても。

書評「餓死迫る日本」

time 2016/12/18

書評「餓死迫る日本」

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本日は読書感想です。
お題はこちら「餓死迫る日本」

概要
・ただでさえ低い政府発表の食料自給率の数字はまやかしで、石油(化学肥料、農業機械の燃料等)や「家畜の餌」等輸入原料を考慮すれば本当は恐ろしくなる程低い。

そうして成り立たたせている現在の食料供給体制の危うさ、不安定さ。

・食料に苦労した歴史

・再び食糧危機が起きた時への備えとしての提言

そのような内容です。

私は1977年生まれです。
「捨てる技術」とか「断捨離」とかが流行り、大量に捨てられる食品「食品ロス」が問題になるような、モノが溢れる豊かな時代に生まれ育った飢えを知らない世代なのですが、何故か、子供の頃から今回のお題のような話に興味津々なのでした。
自分でも不思議です。
前世は飢え死にでもしたのだろうか?

まず日本の現状は?

 

・穀物自給率27% 世界173ヵ国中124位
・カロリーベース自給率39%
・平成17年の農業就業人口の6割が65歳以上
これでは機械に頼らざるを得ない。

・昭和50年790万人以上だった農業就業人口は平成17年335万人

平成17年というのはこの本が書かれた時点での最新のデータだったのだろう。
著者は「だったら10年後は6割が75歳以上という事じゃないか」と心配していたが...

では、そのおよそ10年後の今、どうなった?

調べてみたら、平成28年、農業就業人口は192万...
65歳以上比率は案外変わっていなかったけど、65歳以上が125万人との事。
おいおい...
農林水産省サイトより

元々この本のタイトル的な不安を抱いていた私ですが、それでもこの数値は怖くなりますね...

何となく、連想したのは「年老いた親の年金で暮らしている中年ニート」

生殺与奪を他者に握られるの図
この意味分りますか?

日本のコメ自給率は自称94%。それって本当?

現在、パンや麺など食は多様化してコメの消費量は低い。
一人当たり年間71㎏との事。
この前提で94%な訳だ。

これが1945年までの日本人であれば年間164㎏だったとの事。
今の倍以上食べていた。

つまり、パンや麺の原料である小麦が手に入らなくなり、昔の日本人並みに米を食べるようになったとしたら、いきなり自給率は半分以下に。

尚、小麦の自給率は13%との事で、そもそも低い上に、その13%だってやっぱり石油に頼った数値であるから全く頼りにならない訳だ。

また機械の燃料に限らず、生産に不可欠な肥料の原料はほぼ100%輸入との事。
化学肥料がなくなれば恐らく収穫は半減するだろうとの事。

また除草剤や農薬もほぼ100%輸入。

除草剤が無くなったら?
老人だらけの今の農業で人力草取りが一体どれだけ可能か?

なんだ...ほとんどゼロに近いじゃないか...!

イモどうでしょう?

他、農林水産省の発表している数字で、一見高い項目としてはイモ類の80%。
これはどうでしょう?

ジャガイモの最大の産地は北海道だが広い農地では農業機械と化学肥料が必需品
もし石油が止まって、少人数の農家が機械も肥料も無しを強いられたら?
現在のような大量生産等続けられる訳が無い。

 

肉類も一見自給率高そうだが...

肉類の自給率は牛肉43%、豚肉52%、鶏肉69%、鶏卵に至っては95%だが、それらを育てる餌の自給率は25%。

尚且つその25%というのが「国産の米ぬか等」なので上記のコメの化学肥料に頼った上での自給率を考えれば、これもやっぱり「輸入、石油頼り」の数字という事になる。

鶏の餌は殆どが輸入トウモロコシ。
著者がいうには鶏卵も自給率は5%が本当だろうとの事。

「イザとなったら昔のやりかたに戻せば良い」は無理

例えば70年前の敗戦時はどうだったか?

旧植民地から600万人が引揚、戦地からは数百万の復員軍人が帰ってきた。
国会では食糧難で1000万人が餓死すると大騒ぎになった。

しかし何とか難局を乗り越えられたのは、当時はまだ肥溜めがあり、農耕用牛馬が400万頭いた。
その牛馬の糞から作られる莫大な有機肥料もあった。

今や農耕牛馬等どこにもいない。

尚、牛は人間の15倍、馬は20倍の働きをするという。

そして今の農家は年寄りばかり...

昭和21年、日本の人口は現在の半分で、しかもその半分が農民だった。
平成17年、総人口に対する農家人口の割合は6.6%

(今は更に減ってる訳ですね...)

また戦争体験を経て、国民全体に自給自足の習慣が根付いていた。

昭和21年、宮内省すら自給自足していた

著者の親戚が当時、学習院御用掛、昭仁皇太子(今上天皇)の教育に携わっていたとの事でその頃の記録も載っていました。

皇太子も一般国民と同じく配給食料での生活をしており、食料が不足しており、青白い顔をしてやせ細っていたという。

そこで御殿に御料菜園を設けて野菜、イモ、陸稲等を作ったとの事。
皇太子自身が耕し、種を蒔き収穫する畑もあったそうです。

しかし、この宮内省の自給自足すらなかなか苦労したようで、主食にするジャガイモの種イモを買う金が無く、予算を借りたとか、けれども今度は肝心の種イモが手に入らないとか。

また肥料が無く、御料の手洗いの「くみとり権」の問題さえも起こったという。

驚いた。
まさか皇室までここまで追い込まれていたとは...

僅か70年前、このような状況が現実にあった訳だ。

ちなみに食料問題とは別に、このくだりを読んで思ったのは「負けすぎだろ」という事。

皇室がここまで追い込まれる状況とは、将棋やチェスで例えたら戦闘用のコマではない「王将」や「キング」を使って戦ってるようなものと思う。

将棋やチェスだったらもう意味がない。
無駄な抵抗。
北斗の拳用語で言えば「お前は既に死んでいる」状態。

詰んだニートの演説2 心情編

戦争始めちゃった事は置いといても、もうちょっと早く、キレイに負けられなかったのかなぁ?
「負け方」が下手ですよね。

食料インフレ

食料が投機対象に
今や株や債券、石油や金だけでなく、穀物の商品先物市場も投機対象との事。

つまり、実際の食料の有無とは無関係に値段が上がったりする。

値段が上がったらどうなるか?

売り惜しみ等も出てくる。

年金生活の高齢者、ワープア、非正規等、弱い立場の者から飢えていく。
やがて中流階級に飢えが及ぶ頃、上流階級は海外に逃げ出す。

そうできない層は、なけなしの貯蓄を食料購入に充てざるを得ない。
食料価格はますます上昇。

 

過去どうだったか?

享保17年(1732)の大飢饉の例。

幕府は被害の少なかった地域から救援米を送って対応したが、翌年正月、江戸で「打ちこわし」発生。

「打ちこわし」とは民衆が富商等を襲う事。

この時は日本橋の米問屋が襲撃された。

救援米の緊急輸送により、江戸の米価格が急騰してしまったからだ。

日雇いやその日稼ぎの人々には手が届かない値段になってしまったのだ。

「どうです、現在のワーキングプア問題と重なりませんか?」

まったくです...
食料供給体制だけでなく、現代の秩序...民主主義的なものといっても良いか。
危ういバランスの上に際どく成り立っているように私には思えます。

この事例に続いて、この様な飢饉、凶作を原因とする打ちこわし、米騒動の事例が明治に続くまで列挙されるが...

大正7年の米騒動はそれまでと性格が異なったとの事。

この前年は凶作ではなかった。

第一次大戦によって輸出が激増した日本はインフレ状態になり、実質賃金が低下。
そこに米の価格暴騰が起きた。

大米穀商や地主などの投機的な買い占め、売り惜しみが原因の一つにあげられます。
現在、世界を巻き込んでいる投機マネーの商品先物市場への流入による穀物相場の上昇の構図と似ています。

全国的な騒動になり、農村では地主襲撃事件なども起きた。
それらの鎮圧のため26府県で、のべ9万2千の軍隊まで出動した。

この騒動をきっかけに内閣は総辞職に追い込まれた。

是非やろう! 最強・ケールとサツマイモ

最終章は提言の章で、「イザ食糧危機」に備えた具体的対策が書かれていました。
そこで著者はケールとサツマイモの栽培を推奨していました。

サツマイモすげえ

上記の過去事例であげた「享保の大飢饉」でも薩摩、肥前あたりにだけ餓死者がなかったとの事。

それは何故か?

痩せた土地でも育ち、干ばつに強く、飢饉の際にも収穫できるサツマイモがあったから!
これをキッカケに日本中にサツマイモが広がっていったとの事。

また昭和20年の敗戦後の危機を乗り越えられた、主役級の活躍者もサツマイモだったという。

という事で

「サツマイモは日本人の命の恩人にあたるのです。」

まったくだ!

以前、別記事でジャガイモの伝説を書いた事があったけど、その日本版がサツマイモだったとは。

他にも利点は多く、耕地面積当たりの収量も圧倒的。
米の6~7倍もあるとの事!

そもそも米だって収量が多い作物で、小麦やソバに比べても段違いに穫れると聞き、「収量最強は米か」等と思っていたのですが、それよりも多いとは!

1反(300坪)で3000~3500㎏採れるとの事。(米は500㎏くらい)

また病気に強く、連作も可能!
ジャガイモよりスゴイ!(ジャガイモは連作障害があり、病気に弱い一面もあるらしい

また地面を這うので台風被害もあまりない。

蔓が地面を覆うので雑草にも強い。

糖質、たんぱく質、ビタミンB1、B2、C、カリウム、カロチン等ミネラル、食物繊維も豊富。

そして貯蔵性も高い。

大人が一日1㎏食べても30坪の畑で間に合う。

何コレ強い。強すぎる!

これは是非やるしかない!

野菜の王様 ケール

ケールはキャベツの原種と言われており、青汁の原料となる野菜です。

著者はサツマイモと、このケールとの二本立てでの自給自足を推奨しています。

「サツマイモとケールさえあれば他の食べ物が全くなくなっても生き延びられる」

青汁というと「マズそう」と思うかもしれませんが、どうやらそれは「夏場のもの」独特のクセのようです。

冬場はむしろ甘くて美味いとの事。
白菜的な感じでしょうか?

この著者が推奨する訳ですから性能の方は抜群。

「栄養素は他の野菜の追随を許さない」

ビタミンA、B1、B2、C、E、ベータカロチン、カルシウム、マグネシウム、カリウム、食物繊維をバランス良く含み、アクが無いので調理の幅も豊富との事。

生はもちろん、茹でる煮る炒める等、様々な調理が可能。

確かに、キャベツの一種と考えたらそうですよね。

また何より1年中栽培でき、難しくも無い。
連作障害も無く病気にも強い。

最終的に結球した作物を丸ごと収穫するキャベツと異なり、大きく育った葉っぱを採ると、また茎が伸びて新しい葉が出てくる事で、何度も収穫できるという事です。

一本植えたら4か月くらい葉っぱを何十枚も採れるとの事。

日露戦争でロシアが負けた大きな要因の一つに「ビタミン不足による壊血病」があったとの事。

ロシアの司令官が皇帝にあてた電報にはこのような記述があったとの事です。
「主たる敵は壊血病で、それは日本軍の38センチ砲弾よりも大きな被害を与えています。」

ケールによってこのような事態に備える訳ですな。

よーし、ケールもやるぞ~

市民皆農の勧め

「心ない人は、ドン・キホーテのようだと笑うかもしれません。笑いたい人には笑わせておきましょう。
本当に食料パニックが訪れたとき、彼らが笑い続けることなどできはしないのですから。そのとき、笑顔でいられるのは、自給自足の道を確保している者だけなのです。」

まったくです。
皆も自給自足はじめた方が良いですよ。

ケールなら室内で水耕栽培も出来るみたいだし。
Yahoo!ショッピング 水耕栽培「ケール」種子セット【野菜種子・液体肥料・培地スポンジ】Akarina 灯菜(アカリーナ)

 

イモも園芸土の袋使ってそのまま育てる方法もあるようです。
それならベランダでも出来るね。

特に、年金生活の高齢者、ワープア、非正規等、弱い立場の人こそやった方が良い。
イザとなったら最初に飢えるのはそういった立場の人なのだから。

でも、出来る事なら、出来るだけ多く、一人ひとり取り組んで欲しい。
「市民皆農」レベルで。

何故なら、実はこの「餓死迫る日本」の中でもシミュレーション・シナリオが描かれていて、そこにもあった事ですが、イザとなったらやっぱり略奪とかはじまると思うんですよ。

そうなったら「笑顔でいられるのは、自給自足の道を確保している者だけ」とはいかないでしょう。

私も狙われる立場になるかもしれない。

相手にするのはサルやイノシシだけで勘弁して欲しい。

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